給与前払いサービスは、すでに働いた分の給与を給料日前に受け取れる仕組みのことです。スマートフォンのアプリから申請すれば、最短で即日口座に振り込まれるサービスも多くなっています。

お金の流れが明快

大切なのは「働いた分だけ」を受け取るという点でしょうね。勤怠データと連動して、実際の稼働額から支給可能な金額が自動で計算されます。

サービス会社が一時的に立て替える「立替払いタイプ」と、企業が準備金を用意する「自社払いタイプ」の2種類があります。GMOペイメントゲートウェイの記事によれば、立替払いなら企業側の初期費用がほぼかからず、すぐに導入できるのが魅力です。自社払いは準備金の負担はあるものの、手数料を抑えられます。

手数料の負担は誰がする?

利用時には手数料が発生するのが一般的です。前払い金額の5~6%程度、もしくは1回あたり数百円のシステム利用料がかかります。これを従業員が負担するケース、企業が負担するケース、双方で分担するケースと、サービスによってさまざまです。

項目 内容
初期費用 0円~10万円程度(無料のケースが多い)
月額費用 0円~1万円程度
利用時手数料 申請額の5~6%、または数百円程度
振込手数料 200円~500円程度

カードローンの基本的な仕組み

カードローンは、銀行や消費者金融から限度額内で繰り返し借り入れできる個人向けローンです。資金使途が基本的に自由で、生活費や急な出費など幅広く活用できます。

金利で返済額が大きく変わる

借りたお金には利息がつきます。金利は借入金額に対する利息の割合で、年率で表記されるのが一般的ですね。銀行カードローンは年1.5~15%程度、消費者金融は年3~18%程度の設定が多く見られます。

昔から有名なアコム、アイフルなども金利は実質年率3~18%となっていて、プロミスやSMBCモビットなども同じ金利になっています。

利息の計算式は「借入金額×金利(年率)×借入日数÷365日」です。たとえば10万円を年18%で30日間借りた場合、利息は約1,479円になります。1万円だけ借りた場合なら、そのまま10分の1で約147円です。

審査と限度額の関係

借入限度額が高いほど適用される金利は低くなる傾向があります。ただし初めての利用では限度額が少額になりやすく、結果的に高めの金利が適用されることが多いでしょう。

アイフルで1万円しか借りられない理由の記事によれば、希望をしても満額が借りられるとは限らず、僅か1万円しか借りられないこともあるそうです。給料日直前のつなぎなら良いかもしれませんが、場合によっては足りない状況も出てきそうですね。

また、カードローンの上限金利は利息制限法で定められています。借入金額が10万円未満なら年20%、10万円以上100万円未満なら年18%、100万円以上なら年15%が上限です。

両者を並べて見てみると

給与前払いサービスとカードローン、どちらも急な出費に対応できる手段ではあるのですが、根本的な性質が異なります。

お金の性質が違う

給与前払いは「自分が働いて稼いだお金」を早めに受け取る仕組みです。借金ではありません。一方でカードローンは「借り入れ」なので、元金に利息を上乗せして返済する必要があります。

  • 給与前払いサービス:働いた分の給与を先に受け取る(借金ではない)
  • カードローン:金融機関からお金を借りる(返済時に利息が発生)

コスト面での比較

給与前払いの手数料は申請額の5~6%程度か、数百円程度のシステム利用料です。仮に3万円を前払いで受け取った場合、手数料は1,500~1,800円ほどになるでしょう。

カードローンで3万円を年18%で30日間借りた場合の利息は約443円です。単純計算では給与前払いより安く見えますが、返済が長引けば利息は日割りで増え続けます。60日なら約887円、90日なら約1,330円となります。

比較項目 給与前払いサービス カードローン
お金の性質 働いた給与の前払い 金融機関からの借入
利用限度 働いた分の範囲内 審査で決まった限度額内
コスト 手数料(5~6%または数百円) 利息(年3~18%程度)
審査 基本的に不要(企業導入が前提) 個人の信用情報を審査
即時性 最短即日(サービスによる) 最短即日~数日(金融機関による)

利用条件の違い

給与前払いサービスは勤務先が導入していることが前提条件になります。個人が勝手に使えるものではありません。勤怠データと連動しているため、働いていない日の給与を前借りすることもできません。

カードローンは個人で申し込んで審査を受けます。勤務先は関係なく、信用情報や収入状況をもとに判断されるのです。限度額内であれば何度でも自由に借り入れできますが、その分借りすぎのリスクもあります。

どちらを選ぶかは状況次第

勤務先が給与前払いサービスを導入していて、急な出費が発生したなら、まずは前払いの利用を検討してみるのが自然でしょう。働いた分の給与ですから、心理的な負担も少ないはずです。

カードローンが向いているケース

勤務先に給与前払いサービスがない場合や、働いた給与の範囲を超える出費が必要なときは、カードローンの選択肢が出てきます。ただし返済計画をしっかり立てることが大前提です。

銀行カードローンは金利が比較的低めですが、審査に時間がかかる傾向があります。消費者金融は即日融資も可能ですが金利は高めです。どちらも一長一短があるため、自分の状況に合わせて選びたいところですね。

共通して言えること

給与前払いもカードローンも、計画性が何より大事だと思います。手数料や利息は見落としがちですが、積み重なると無視できない金額になります。

前払いなら「次の給料日に手取りが減る」ことを、カードローンなら「返済期間が延びるほど利息が増える」ことを、きちんと理解したうえで利用するのが賢明でしょう。どちらも便利な仕組みですが、使い方次第で負担が変わってくるのは確かです。