
会社を辞めて資格勉強に専念する場合、まず把握しておきたいのが雇用保険の基本手当です。自己都合退職の場合、離職前2年間に通算12カ月以上の雇用保険加入期間があれば受給資格を満たします。ただし、資格勉強に専念する場合は「すぐに働ける状態」とは見なされないため、原則として失業保険を受け取ることはできません。
受給を検討する際は、ハローワークへの求職申込と7日間の待期期間が必要です。さらに自己都合退職の場合、2025年4月からは給付制限期間が1カ月に短縮されましたが、それでも給付開始まで約1カ月半かかります。
失業保険の給付額と日数
基本手当日額は、離職前6カ月の賃金をもとに計算され、おおむね賃金の50~80%となります。月収30万円の方であれば、日額6,000円前後、月額で約18万円程度が目安です。自己都合退職の給付日数は、雇用保険加入期間が10年未満で90日間、10年以上20年未満で120日間、20年以上で150日間となっています。
| 被保険者期間 | 給付日数 | 月収30万円での概算給付総額 |
|---|---|---|
| 10年未満 | 90日 | 約54万円 |
| 10年以上20年未満 | 120日 | 約72万円 |
| 20年以上 | 150日 | 約90万円 |
単身世帯の平均的な月間生活費の内訳
資格勉強期間の生活費を見積もるには、標準的な支出額を知る必要があります。総務省の家計調査によると、2024年の単身世帯における消費支出は月平均約18.4万円でした。年齢層別では、35歳から59歳の層で約19万円となっており、住居費や食費を中心に構成されています。
生活費を抑えるポイントは、固定費の見直しです。実家に住める環境があれば住居費が大幅に削減でき、月10万円前後での生活も可能になります。
費目別の標準的な支出額
生活費の内訳を見ると、食料が約4.6万円、住居が約3.1万円、光熱・水道が約1.3万円となっています。交通・通信費は約2万円、教養娯楽費は約1.7万円が平均的な水準です。資格勉強中は外食や娯楽費を削減できる一方、教材費や受験費用が別途必要になる点を考慮しましょう。
- 食料:月4.6万円(自炊中心にすれば3万円程度まで削減可能)
- 住居:月3.1万円(実家暮らしなら0円、賃貸なら地域により5~10万円)
- 光熱・水道:月1.3万円
- 交通・通信:月2万円(スマホ代と最低限の移動費)
- 日用品・被服:月1.5万円
- 保健医療:月0.8万円
健康保険と年金の負担額
退職後は会社員時代の社会保険から、国民健康保険と国民年金への切り替えが必要です。国民年金保険料は月額約1.7万円、国民健康保険料は前年の所得に応じて決まりますが、平均的には月1.5~3万円程度となります。これらの非消費支出を合わせると、月3~5万円の負担が発生します。
住民税も前年の所得に基づいて課税されるため、退職1年目は納税義務が残ります。所得によりますが、年間10~30万円程度を想定しておく必要があります。
資格勉強期間の収支シミュレーション

実際に6カ月間資格勉強に専念する場合の収支を、3つのパターンでシミュレーションします。パターンAは実家暮らし、パターンBは節約型の一人暮らし、パターンCは標準的な一人暮らしを想定しています。
どのパターンでも、退職前に最低でも半年分の生活費を貯蓄しておくことが重要です。失業保険を受給しない場合は、全額を自己資金で賄う必要があります。
3パターンの具体的な収支計画
| 項目 | パターンA (実家暮らし) |
パターンB (節約一人暮らし) |
パターンC (標準一人暮らし) |
|---|---|---|---|
| 食費 | 2万円 | 3万円 | 4.5万円 |
| 住居費 | 0円 | 5万円 | 7万円 |
| 光熱・水道 | 0円 | 1万円 | 1.3万円 |
| 通信・交通 | 1.5万円 | 1.8万円 | 2万円 |
| その他生活費 | 1.5万円 | 2万円 | 3万円 |
| 国民年金 | 1.7万円 | 1.7万円 | 1.7万円 |
| 国民健康保険 | 2万円 | 2万円 | 2万円 |
| 資格教材・受験費 | 1万円 | 1万円 | 1万円 |
| 月間合計 | 9.7万円 | 17.5万円 | 22.5万円 |
| 6カ月間の必要額 | 約58万円 | 約105万円 | 約135万円 |
貯蓄目標と資金計画のポイント
6カ月間の資格勉強期間を確保するには、パターンAで最低60万円、パターンBで110万円、パターンCで140万円程度の貯蓄が必要です。さらに予備費として、想定額の1.2~1.5倍を用意しておくと安心です。退職前に具体的な目標額を設定し、計画的に貯蓄を進めましょう。
住居費を抑えられる実家暮らしは、資金面での負担が最も軽くなります。一人暮らしの場合でも、地方都市や郊外の物件を選ぶことで家賃を抑制できます。食費は自炊を基本とし、交際費や娯楽費を必要最小限に抑えることで、月15万円程度での生活も実現可能です。
資格取得という明確な目標があれば、期間限定の節約生活も前向きに取り組めるでしょう。