
フリーランスとして独立した1年目、予想以上に高額な住民税の納付書が届いて驚いた経験はありませんか。会社員時代には給与から自動的に天引きされていた住民税ですが、独立後は自分で納付する必要があります。
特に独立初年度は、会社員時代の所得に基づく住民税が一気に請求されるため、多くの人が負担の重さに戸惑うのです。
フリーランス1年目に住民税が高いと感じる理由
独立したばかりのフリーランスが住民税の高さに驚くのには、明確な理由があります。
住民税は前年の所得をもとに計算される「前年所得課税」という仕組みを採用しているため、独立のタイミングによっては二重に負担を感じることになるのです。
会社員時代の給与に対する住民税が後から請求される
住民税は毎年1月1日現在にお住まいの市区町村において、前年の1月1日から12月31日までの所得に基づき、原則6月から課税されます。
このため、たとえば2024年10月に会社を退職してフリーランスになった場合、2025年6月には2024年1月から10月までの会社員時代の給与に対する住民税が請求されるわけです。
会社員時代は給与から毎月自動的に天引きされていたため、住民税の存在をあまり意識していなかった人も多いでしょう。ところが独立後は、その金額を自分で一括または年4回に分けて納付しなければなりません。
収入が不安定になりがちな独立直後に、前年の高い所得に基づく税金を支払う必要があるため、「高すぎる」と感じてしまうのです。
| 退職時期 | 独立1年目の住民税の対象期間 | 納付時期 |
|---|---|---|
| 1月~5月退職 | 前年1月~12月の給与 | 退職後すぐに残額を一括または分割納付 |
| 6月~12月退職 | 前年1月~12月の給与 | 翌年6月から納付開始 |
前年所得課税の仕組みが影響している
住民税の前年所得課税という仕組みは、税額を正確に計算するために必要な方式です。しかし、この仕組みがフリーランスにとって負担となる場面があります。
独立1年目はフリーランスとしての収入が安定していないにもかかわらず、会社員時代の高い所得に基づく住民税を支払わなければならないからです。
さらに独立2年目には、独立1年目のフリーランスとしての所得に基づく住民税が課税されます。つまり、独立直後の2年間は常に前年の状況に応じた税金を支払い続けることになり、収入と税負担のタイムラグが大きな負担となります。
この時期を乗り切るためには、事前の資金計画が欠かせません。
住民税の計算方法と納付時期
住民税がどのように計算され、いつ納付するのかを理解しておくことは、資金繰りを考える上で非常に重要です。住民税は「所得割」と「均等割」という2つの要素から構成されており、フリーランスは「普通徴収」という方法で納付します。
住民税の基本構造(所得割と均等割)
住民税は、前年の所得に応じて課税される「所得割」と、所得の有無にかかわらず一律で課税される「均等割」の合計額で算出されます。
所得割の税率は原則として一律10%(都道府県民税4%、市区町村民税6%)で、課税所得金額に対して適用されます。一方、均等割は年間4,000円(都道府県民税1,000円、市区町村民税3,000円)が基本です。
計算の流れとしては、まず総所得金額から各種所得控除(基礎控除、社会保険料控除、扶養控除など)を差し引いて課税所得金額を算出します。
次にこの課税所得金額に税率10%を掛けて所得割を計算し、さらに均等割を加算することで最終的な住民税額が決まります。所得控除の金額は所得税とは異なる点に注意が必要です。
| 項目 | 内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 所得割 | 前年の所得に応じて課税 | 課税所得金額×10% |
| 均等割 | 所得にかかわらず一律 | 年間4,000円 |
普通徴収での納付スケジュール
フリーランスが採用する普通徴収では、毎年6月頃に自治体から「住民税決定通知書」と納付書が送付されます。納付方法は、年4回に分けて納付する分割払いと、一括で納付する方法のいずれかを選択できます。
分割払いの場合、一般的な納期は6月末、8月末、10月末、翌年1月末の年4回です。
納付は金融機関の窓口、コンビニエンスストア、口座振替、インターネットバンキング、クレジットカード、スマートフォン決済アプリなど、多様な方法に対応しています。自治体によって利用できる納付方法が異なるため、事前に確認しておくとよいでしょう。
期限までに納付しないと延滞金が発生するため、納付期限の管理は徹底する必要があります。
フリーランス1年目の住民税負担を軽減する方法

住民税の負担を少しでも軽くするためには、事前の準備と節税対策が重要になります。特に独立初年度は収入が不安定になりやすいため、計画的な資金管理と税制優遇制度の活用が欠かせません。
納税資金の準備と管理
独立前から住民税の仕組みを理解し、納税資金を確保しておくことが最も確実な対策です。確定申告書の「課税される所得金額」に10%を掛けた金額が、おおよその住民税額の目安となります。
この金額を事前に把握し、専用の口座に積み立てておくことで、納付時期に慌てずに済みます。
- 確定申告書の課税所得金額×10%で住民税の概算を把握する
- 納税専用口座を作成し、毎月一定額を積み立てる
- 納付が困難な場合は自治体に早めに相談する
青色申告を活用した節税対策
フリーランスが利用できる最も効果的な節税対策の一つが青色申告です。青色申告を選択すると、最高65万円の青色申告特別控除を受けられるため、課税所得を大幅に減らせます。
この控除は所得税だけでなく住民税の計算にも適用されるため、翌年の住民税も軽減できるのです。
| 控除の種類 | 控除額 | 要件 |
|---|---|---|
| 青色申告特別控除(複式簿記) | 最高65万円 | 複式簿記での記帳、電子申告または電子帳簿保存 |
| 青色申告特別控除(簡易簿記) | 10万円 | 簡易な帳簿での記帳 |
フリーランス1年目の住民税が高いと感じる理由は、前年所得課税という仕組みにあります。独立前の高い所得に基づく税金を、収入が不安定な時期に納付しなければならないため、負担が大きく感じられるのです。
しかし、住民税の仕組みを正しく理解し、事前に納税資金を準備しておけば、この時期を無理なく乗り越えられます。青色申告による節税対策も併せて活用しながら、計画的な資金管理を心がけましょう。